オドロキくん。

名前を呼ばれて振り返る。
けれどもそこには誰もいなくて聞き間違いかと前を向く。
そうきっと聞き間違い聞き間違いなんだだってあのひとは

「こんなところにいるはずがない」

そういるはずがないいるはずがないんだ。でも、でも―――
歩き出してまた振り返るけれどやっぱり誰もいないあまりに忙しくて遂に幻聴まで聴こえるようになってしまったんだろうかたいして忙しくもないけど昔のほうが忙しかった、けど、でも、でも―――

ああそうだきっとそうなんだそう思うことにしよう疲れてるんだゆっくり休めば、また―――

オドロキくん。

ああほら聞き間違いなんかじゃない忘れるはずなんてない忘れられるはずがないだって、だってあのひとはいつもそう優しい声でオレのことを呼んだ呼んでいた。
なんでかなあなんでなのかなあその声にたった四文字の言葉すら口にできない返せない。
振り向くことも前を行くことも出来なくてその場にしゃがみこんだオレの肩になにかが触れたような気がしたけどそれもきっと気のせいなんだだってここにはオレしかいない。

オレしか、いない。

日記に載せていたもの。霧人氏のオドロキくん呼びがたまらなく好きです。しかしここはどこなんだ。(謎)

 

inserted by FC2 system