「貴様は何処までこの修道院の名を汚せば気が済むのだ」
もう何度聞いたか分からない、あんたの言葉。

憎悪に歪む顔。汚らわしいものでも見るようなその瞳が、堪らなく好きだ。
鎖に繋がれた手首が痛みに満ちても。打たれた躯が幾ら悲鳴を上げようとも。

この瞬間だけは、あんたはオレを見てくれる。背を向けずに、ちゃんと向き合ってくれる。

「聞いているのか」

「ええ、聞いていますよ、団長殿」

口元に笑みが浮かぶ。それが気に食わないあんたは、もっと顔を歪ませる。


優しくしてなんて言わない。ただ見てくれるだけで良いんだ。
あんたが嫌いなオレの事を。もっと。もっと、見て。

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